
來迦 結子|YUIKO RÁYKA
SELFVERSE
OVERVIEW 作品概要
SELFVERSE
本作品「SELFVERSE」は、鑑賞者参加型・共創型のインタラクティブな光のインスタレーションです。
暗い展示空間に、オーロラフィルム、ホログラムシート、ミラーボールなどの反射素材がランダムに配置されています。それらに鑑賞者が懐中電灯の光を当てると、展示空間の壁や天井に、幻想的なリフレクションが映し出されます。まるで魔法のように突然現れる美しい光景に、鑑賞者は心地よい驚きを感じることでしょう。
鑑賞者は反射素材を手に取り、自由に組み替え、様々な実験を楽しみながら、自分だけの光の世界を創造することができます。また、他の鑑賞者と共同作業をすることで、各々の世界を統合し、拡大してゆくこともできるでしょう。
鑑賞者自身による、無限の可能性を秘めたこの創造世界を、本作品では「SELFVERSE (自己の宇宙)」と呼びます。
この作品の本質は、こうした構造そのものです。
プログラミングやデジタル機器を一切使わないこのアナログ・インタラクションは、鑑賞者による唯一無二のクリエイションを生み出すことになります。
このオープンエンドで制限の無い、シンプルで楽しく遊び心のある体験型インスタレーションは、あらゆる世代の人々の想像力をかきたてることでしょう。
作家は、このアートメディアとしての光の実験が、鑑賞者自らが創造性を発揮し、自己拡張をする機会を提供することを期待しています。

來迦結子 アーティスト・ステイトメント
私は一貫して、私たち人間一人ひとりが持つ未知の可能性や、個々の存在の素晴らしさを、作品を通して表現することを試みています。
本作品「SELFVERSE」においては、鑑賞者は傍観者ではなく、当事者として、自分自身の可能性の輝きを、喜びをもって体験することとなります。
しょ
私が本作品のアイディアを着想したのは2018年初夏。光の実験をしていた時のことでした。
アーティストによる創造的な発見や、その成果物(作品)から、誰が最初に感動を得るかと問うなら、それは間違いなくアーティスト本人であると私は考えます。アーティストは創造を通じ、自身と自身の世界が拡張する感覚を得ています。これまでの自分を超える可能性を感じることは、アーティストにとって大きな喜びとなるでしょう。私は光の実験を通して得たアイディアを使い、この創造的な感動と喜びの体験を、他者とシェアすることができるのではないかと思いつきました。鑑賞者自身の手によって、幻想的な光景が魔法のように出現するこのアイディアは、反射素材に光を当てるという単純な仕掛けであるからこそ、鑑賞者の創造性に直接的な働きかけをすることができると考えました。また私には、「己の世界に存在するものは、己の意識や心の在り方の投影である」という哲学があります。意識や心の在り方とそれに伴う行動によって、見合う現実創造ができるということです。本作品では、鑑賞者が反射素材を手に取り、自由に組み替え、思うまま光の実験を行うことができますが、自分の世界の創造とそのマネージメントの疑似体験を、鑑賞者はこの実験を通して経験することができると考えました。
着想から間もない2018年8月末、「宇宙をつくる、宇宙で遊ぶ」というタイトルで、本作品のプロトタイプを自主企画で発表しました。その際、鑑賞者、つまり作品の参加者たちが、彼等の創造行為を楽しみ没頭する姿を見て、私はこの作品にとって最も重要な要素は「人」であると確信しました。人は皆、各々が素晴らしい創造的宇宙を持っています。その宇宙を発展させ、他者の宇宙と融合させ、無限に拡大してゆくことが私たちにはできるのです。本作品における参加者のアクション、参加者同士のコラボレーションと、彼らの光が織りなす世界は、まさにそのことを体現していると言えるでしょう。
また、本作品においては、作品の作者である私の想像を超えたクリエーションを、参加者たちが行うこともあり得ます。アーティスト、媒体としての作品、参加者という「個」が、その垣根を緩やかに溶かし、一体となって無限の宇宙創造を繰り広げる。それがこの作品なのです。
私たちは今、新しい時代を迎えました。近年、さまざまな苦難や変化を経験した私たちは、新しい時代に向けて精神的な進化を求められています。
私たちは個人個人が、真の本来の可能性を喚起させ、力強く現実創造をしてゆくこととなるでしょう。
私はこの作品が、未来に向けた人々の目覚め貢献することを願います。私たちは、自身の創造力と可能性を駆使し、新しい時代を創ってゆくのです。
2023年 來迦結子
これまでにこの作品を展示した展覧会
2023「MUSIC IS・SELFVERSE」(Art Yī, ブリュッセル)
2022 アート展「Beautiful World」, 作品名 "SELFVERSE: The Beyond" (河村能舞台, 京都, 文化庁助成事業)
2022 個展「SELFVERSE: Sparkling Heart」, CONTEXT Art Miami (マイアミ)
2022 Seattle Art Fair (シアトル)
2021 個展「INTO THE SELFVERSE」(Gallery G-77, 京都)
2018「小さくて大きな宇宙の国」, 作品名 "宇宙をつくる、宇宙であそぶ" (大善院ギャラリーおてらハウス, 京都)
VIEWERS' IMPRESSIONS 鑑賞者の感想
來迦結子個展「INTO THE SELFVERSE」アーティストトークから抜粋。2021年12月22日 京都 Gallery G-77にて。(聞き手:水谷イズル)
About the artist
來迦結子
來迦 結子 (らいか ゆいこ)
現代アーティスト。東京都出身・在住。
私たち人間一人ひとりが持つ未知なる可能性と、新しい時代に向けて進化する精神に着目し、物理的な体験と非物理的なメディウムを掛け合わせることで、人間の意識の領域に働きかける多次元的な表現を試みている。
近年は、体験を重視したインタラクティブなインスタレーションや、XR・メタバース・NFTなどを活用したメディア作品を制作している。

経歴
2003年 京都精華大学芸術学部造形学科洋画専攻卒業。2001-2002年 オーストラリア国立大学スクール・オブ・アート彫金科交換留学。学生時代は様々な素材やメソッドに触れ、平面・立体・インスタレーション等で表現を試みる。
大学卒業後、2004年に渡独。デュッセルドルフの映像制作会社でグラフィックデザイナーを務める。
帰国後、デザイナーを経て2010年にイラストレーターとして活動を開始 (別名義)。村田沙耶香「星が吸う水」 文庫版表紙(講談社)、NHK 番組キャラクターデザイン、冨永愛プロデュースのファッションブランド deep sweet easy、渋谷エクセル ホテル東急 客室アートワーク、舞台美術等に作品が起用される。
2014年からアーティスト活動に主軸を移し、ミクストメディアやインスタレーションの制作を開始。以降、体験型インスタレーション「SELFVERSE」、インスタレーション&メディアアート「SOUL GEMS」、ミクストメディア 「Unknown Power」の3つのシリーズを展開し、世界各地のアートフェアや展覧会で発表している。
2021年よりデジタル作品をNFTで発表し(AURORA名義)、国内外の数々のイベントやプロジェクトに参加。
2022年には、XR・メタバース・生成AIなどを活用した表現の研究に着手している。
SELECTED EXHIBITIONS 主な展覧会
個展
2023 5月, VOLTA New York (ニューヨーク, Gallery G-77)
2022 「SELFVERSE: Sparkling Heart」, CONTEXT Art Miami (マイアミ, Gallery G-77)
2022 「SOUL GEMS META」 (Gallery G-77, 京都)
2021 「INTO THE SELFVERSE」 (Gallery G-77, 京都)
2018 「魂コレクション」 (The Artcomplex Center of Tokyo, 東京)
グループ展
2023 「MUSIC IS・SELFVERSE」画家・渡辺敬介氏と2人展 (Art Yī, ブリュッセル)
2022 アート展「Beautiful World」 (河村能舞台, 京都, 文化庁AFF2!補助事業)
2022【NFT】#NFFT_2022 New Future Fashion x Technology (AL Tokyo, 東京)
2022【NFT】CRYPTO ART FES 2022 (conata, Metaverse)
2022【NFT】Made in Japan 3.0: Defining a New Phy-gital Reality (K11 Art Mall, 香港)
2021【NFT】CAWA Crypto Art Week Asia in Tokyo (Voxels, Metaverse / CIRCUS Tokyo, 東京)
2021【NFT】SBINFT×POW!WOW!JAPAN "VIRTUAL SHIRAHAMA" (Voxels, Metaverse)
2021 「WHEREABOUTS」(TURNER GALLERY, 東京)
2020 「FIRST STEP EXHIBITION」ゲストアーティストとして参加 (Gallery G-77, 京都)
2020 「Mostra di Artisti Giapponesi Contemporanei」(monogramma arte contemporanea, ローマ)
2019 ART FAIR ASIA FUKUOKA AWARD 2019 (福岡アジア美術館, 福岡)
2018 「大きくて小さな宇宙の国」キュレーションも担当 (大善院ギャラリーおてらハウス, 京都)
2017 SICF18 (Spiral Hall, 東京)
2015 independent (Hulic Hall, 東京)
アートフェア
2023 VOLTA New York (ニューヨーク, Gallery G-77)
2022 CONTEXT Art Miami (マイアミ, Gallery G-77)
2022 Seattle Art Fair (シアトル, Gallery G-77)
2022 London Art Fair (ロンドン, Gallery G-77)
2020 Affordable Art Fair Milan (ミラノ, Emigre Collection)
2017 Art Stage Jakarta (ジャカルタ, Emigre Collection)
2017 Art Expo Malaysia Plus (クアラルンプール, Emigre Collection)
2017 Le Japon (Espace Japon, パリ, Gallery Maison d'Art)
2016 ART KAOHSIUNG (高雄, Emigre Collection)
2015 Affordable Art Fair NYC (ニューヨーク, Emigre Collection)
2014 Young Art Taipei (台北, Emigre Collection)
AWARD 受賞歴
2021【NFT】#BigBangNFT Competition 入賞
2019 FLAG prize 入賞
2019 AFAF WARD 2019 ファイナリスト
2013 Taipei International art competition 2013 ファイナリスト
2012 WONDER SEEDS 2012 入賞
OTHER projectS of the artist その他の作品
SOUL GEMS META
VRインスタレーション, NFT, 2022-
101個の魂 "SOUL GEMS "で構成された3Dアニメーション「魂の世界」をメタバース上に制作し、鑑賞者はそれをフィールドVR形式で鑑賞する。「魂の世界」において、鑑賞者は"魂の核"と呼ばれるアバターの姿となり、肉体を離れた異次元の感覚を疑似体験する。101個のSOUL GEMSはNFTとして入手可能であり、それらはブロックチェーンの宇宙で物語を紡いでいく。
「魂と私たち人類」と「作品の核と表現メディア」の関係性に類似点を見出し、"進化"という観点から提示を試みた作品。
新しい技術の進化とともに、アップデートすることを前提としたプロジェクトである。
(メタバース制作協力:TOUNNE, 音楽:光地克泰)
Soul Gems -魂の宝石 -
インスタレーション, 2015-